半導体発振器の市場動向と構成例

半導体発振器の市場動向と構成例

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マイクロウェーブで化石燃料からの転換へ

従来のマグネトロン加熱方式と比較し、半導体式発振器を用いた加熱方式は使用電力を1/10に抑え、しかも非常に長寿命で、マグネトロン方式が80日〜数年の寿命と言われるのに対し、10年以上の耐久性を持ちます。このため、現在世界中で問題になっている気候変動への持続可能な開発の一つとして、今後の技術革新に大きな期待がかけられています。

 

半導体トランジスタ LDMOSとGaNの比較

 

発振器の方式はLDMOS(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタとGaN(ガリウムナイトライド)トランジスタに分けられ、それぞれ特徴や利点にいくつかの違いがあります。

LDMOSはシリコンベースのため製造コストが安価であり、大量生産が比較的容易です。ただし効率はGaNよりも低く、上限およそ4GHzまでしか使用できません。LDMOSトランジスタはMRI、核融合装置、加速器、半導体製造装置等に広く応用されています。

対してGaNは高周波性能に非常に優れ、LDMOSより8%も効率が良いものもあり、電力密度も高いのが強みです。ただし、製造コストが非常に高価であるのが、今後の課題です。パッケージ材質は、セラミックまたはプラスチックが商品化されています。セラミック製は内部が空洞のため、例えば10秒ON、10秒OFF、というようなご使用条件には最適ですがパッケージが高価な分、割高となります。

半導体加熱方式を用いて今後期待される用途は周波数により、915 MHz では食品の解凍・加熱、2.45 GHz ではさらに プラズマ加工機、半導体製造装置、人工ダイヤ、無線電力伝送等、さらにGaNを用いた 5.8 GHzも加熱、化学反応、無線電力伝送への応用が期待されます。

当社取扱いのAmpleon社では、LDMOSとGaN/SiCどちらの提案も可能です。

 

導入のタイプ

 

既存コンポーネントを拡張する形のミニサーキット社製ビルディングブロックでの提案では、お客様にて構成変更が可能であり、小パワーでの評価からスケールアップした評価へ移行する場合も、小パワー用のブロックを流用できますので、費用を抑えることが期待できます。

加熱ムラを防ぐため、合成する際に必要となる位相制御や振幅制御は、ソフトウェア側で行います。

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ミニサーキット社製 ビルディングブロックでの提案では、運用に向けた機能が搭載されています。障害検出機能 (反射、温度、電流、電圧異常)、電力モニター、ロギング機能があり、従来非常に高額でしたが、近年では10年前よりも1/15になっています。

発振器とAC電源搭載タイプもあり、家庭用100VAC電源とPCをご用意頂くだけで評価できる組立て品もあります。

 

様々な解決案

当社ではお客様の仕様にもとづき、250Wや1kW システムタイプの提案をしています。こちらの記事をご参照ください。

https://mrf-shop.com/rf-laboratory/semi-conductor-1-kw-microwave-oven/

化学変化をモニタする用途では、アプリケータ搭載 2.45 GHz 50W 半導体発振器が有効です。 

2025年12月に、6 kW出力の 2.4-2.5 GHz 導波管&結合器が発売予定となっています。

今後の課題としては、コストを下げること、半導体加熱向けに最適化した方向性結合器の流通、コネクタ・ケーブルの耐電力、長寿命を実現するための制御システムのインテグレートなどが挙げられます。

気候変動への対応が喫緊の課題である今日、熱効率に優れメンテナンスがほとんど不要、かつ10年の連続使用が期待される半導体式加熱方式は、エネルギー問題への提案の一助となりますので、今後もご紹介を続けてまいります。

具体的な製品については、こちらもどうぞご覧ください。

https://www.mrf.co.jp/topics/rf_energy/

 

 

 

 

 

 

 

 

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