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RFアンプ(高周波増幅器)の使用

RFアンプ(高周波増幅器)の使用にあたって

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当社から販売させていただいている RF アンプに限らず、一般的に RF アンプの取り扱いには注意していただくべき点がいくつかあります。 これらの注意点を順守せずに使用され、故障、破損に至ったものに関しましては、たとえメーカ保証期間中であっても保証の対象ではなくなってしまいます。主な注意事項をまとめましたので、ご検討の際は参考にしてください。

1 静電気対策  

RF コンポーネントの多くに言えることですが、特に RF アンプは内部部品の構成上、静電 気に対してセンシティブです。RF アンプを持つ場合は、電源や RF 端子には触れないよう にしてください。またアースされたリストバンドを装着するなどして、体に帯電した静電気が完全に放電したことを確認して慎重に、最善の注意を払った上で取り扱ってください。

2 過入力  

RF アンプの RF 入力端子に、許容入力を超えたレベルの RF 信号を入力した場合、故障に 至ることがあります。 

最大許容入力はデータシートに記載がある場合はそちらをご参照ください。 RF アンプは一般の消費者の方が使用するようなものではないため、データシートに記載が ない場合も多々ありますが、その場合は下記の式を適用し、最大入力レベルを把握した上で ご使用ください。

 

最大入力レベル = 最大出力値(P1dB) – ゲイン(dB) 

 

最大出力値は P1dB のほかに P3dB, Psat などと表記されている場合が あります。それぞれ定義が異なりますが、最大入力レベルの算出にはこれら数値を参照してください。 

例えば P1dB: +15dBm, Gain: 20dB の RF アンプの場合の最大入力レベ ルは、+15 – 20 = -5dBm ということになります。この例では-5dBm 以 上のレベルの信号を入力すると故障につながる恐れがあります。 

なお、最大出力値については dBm ではなく W (ワット)で記載されてい るばあいもあります。W の場合は dBm に換算して計算をしてください。 ご不明の点があればお問い合わせください。 

3 適切なロード(負荷)  

RF のアンプは高価な保護回路がついている場合を除き、動作時は入力端と出力端が(特に 記載のない限り)50Ωの系に接続されていることを前提としています。これは極めて重要で す。 

RF アンプの入力コネクタ、出力コネクタに何も接続しない状態で RF アンプに電源を供給 すると、RF アンプは容易に故障に至ることがある、ということをご認識ください。 

LNA(Low noise amplifier)などの小信号のアンプ(最大出力が+15dBm 前後のもの)で はこのことだけで故障する確率は高くありませんが、中電力、高電力の RF アンプ (目安として、最大出力+30dBm, 1W 以上のもの)においては、入出力の両方が 50Ωの系 に接続されていない状態では、決して電源を投入しないでください。状況によっては 1 度 だけ、短時間の電源投入でも RF アンプ内部のトランジスタが焼損し、故障することがあり ます。 

RF アンプの前後に接続する系がまだできていない状態で電源を投入するときは、入出力を 50Ωの終端器(ターミネータ)で適切に終端してください。 

また、入力には信号を入れ、出力側のみを終端する場合は、想定される出力レベルに耐え る仕様の終端器を接続してください。 

また、入力側の VSWR の整合(ポート間の反射をなるべく抑えるためのインピーダンス整 合)を最適化するため、信号源と RF アンプの入力ポートとの間に固定減衰器を入れることは一般的な接続方法です。系の安定のみならず、RFアンプの保護の観点からも有効です。

可能な限り固定減衰器を入力側に接続してください。 

RF アンプの入出力の負荷(ロード)に注意を払う必要がある理由は、RF 端子に何も接続されていないときにはインピーダンスがオープン(無限)になり、この状態では、RFアンプの端子にアンプコンポーネント内部から伝わるパワーがほぼ全反射し、内部コンポーネントに跳ね返ってしまうためです。なお、ここでは端子に何も接続しない場合 

(オープン)のことを記載していますが、端子のグランドとシールドをショートさせた状 態でRFアンプに電源を入れることも絶対に行わないでください。

4 ヒートシンク  

LNA、ゲインアンプ以外の中電力、高電力出力のパワーアンプにおきましては、相当な熱 が発生するため、RF アンプをヒートシンクとご使用ください。 

LNAやゲインアンプの場合であっても、本体の温度が高くなる使用条件下ではヒートシンク にマウントするなどにより、温度が高くならないよう留意してご使用ください。 

RF アンプの種類にかかわらず、筐体底板の温度がデータシートに記載されている動作温度 範囲内でご使用いただくことが必要となります。 

ヒートシンクは特定のアンプ型番それぞれに専用に用意されたものではありません。 適切なものをお客さまの方でご用意いただいてもかまいませんが、パワーアンプをヒートシンクなしで使用することは発熱による故障をきたすことになりますので、必ずヒートシンクをご使用ください。 

 

5 電源 

5.1 電源投入順序 

GaAs または GaN HEMT トランジスタを使用した RF アンプ製品で電源端子に Vgs/Vds 等の表示がある製品につきましては、電源の投入順序が厳格に規定されているものがあります。一般的には製品のゲート (Vgs) 端子に所定のマイナス電圧を印加した後、ドレイン  (Vds) 端子にプラス電圧を印加します。電源 OFF 時には上記と逆の手順で、ドレイン電圧 (Vds)を Turn off した後にゲート電圧(Vgs)を Turn off してください。 

該当する RF アンプでは、指定された電源の投入順序を間違えると極めて高い確率で損傷します。 

データシートに電源の投入順序の記載がある場合は必ず記載に従った順序で電源を投入す るようにしてください。また、ゲート電圧(Vgs)、ドレイン電圧(Vds)の推奨値につきましては、製品のデータシートをご確認ください。 

電源の投入順序を誤って使用したことによる故障は保証が適用されなくなります。 また通常、正しくない順序で電源投入を行って故障した際は、故障解析をするとその痕跡が 明確に見て取れます。もし、正しい電源投入順序を守り使用していたにもかかわらず故障し たと主張し、後に誤った順序で電源が投入されたことが判明した場合、保証が適用されない ばかりでなく、解析に要した費用を請求される場合があります。 

このような RF アンプの電源投入順序にはくれぐれもご注意ください。 

電源の投入順序が指定されている RF アンプの一般的な電圧設定としては以下をご参考に してください。 

まずゲート、ドレイン間の電圧を、ドレインに電流が流れ始めるスレッショルド以下(ピンチオフ電圧)に設定、スタートします。 

徐々にゲート・ドレイン間の電圧を上げていき、最大定格の電圧を超えない範囲でデータシートの仕様値が出る程度まで電圧を上げることができます。 

なお、仕様値の出力レベルが出るまで電圧を上げていくとデータシートに記載されている 電流のティピカル値を超えることが往々にしてあります。これは内部に使用されているト ランジスタのロット間、個体間のばらつき、設計、構造上の特性などによるもので、RF のアンプにはよくあることです。 

ティピカルの電流値より顕著に大きい、このまま使用してよいのか不安だ、等ご不明な場合は、遠慮なくお問い合わせください。 

5.2 せん頭電流 (Inrush current) 

パワーアンプは電源投入の際、通常時以上の直流電流を必要とすることがあります。設計に よっては消費電流は増幅器の最大定格直流電流よりも 10%から 100%以上に及ぶこともあります。これは製品型番によって異なります。電力供給量に十分な余裕がある電源をご使用 ください。また十分に接地(アース)されていることを確認してください。直流電源とRF アンプは共用接地(コモングランド)されていなければなりません。 

6 アンテナとの接続  

パワーアンプの後段にアンテナが接続される場合には特に注意が必要です。 アンテナは一般的にインピーダンスが 50Ωではないことに加え、触ったりするだけでもインピーダンスが変わることがあります。さらには、アンテナの破損、接触不良などにより、オープンないしはショートの状態になったりすることがありますので、RF アンプの出力にアンテナを直接接続することは避けてください。 

RFアンプとアンテナの間には、RFアンプの出力電力に見合った十分な電力許容量を持った 固定減衰器またはアイソレータを接続してください。また、それら機器の対応周波数が RF アンプからの出力として想定される周波数範囲をカバーしていることも確認してください。 

7 その他の使用条件  

本記事に記載されている内容以外の使用条件がデータシートに記載されている場合が あります。記載された使用条件を順守してご使用ください。 

以上、ご留意の上ご使用いただきますようよろしくお願いいたします。

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